初めて客先常駐に参画する方はもちろん、すでに客先常駐をされている方でも、「この動き方で合っているのかな」「もっと評価される立ち回りがあるのでは」と不安になったり、緊張したりすることがあると思います。私自身も参画当初は、現場のルールや空気感が分からず、質問の仕方や報連相のタイミングで悩んだ経験があります。
客先常駐では、技術力と同じくらい「現場での立ち回り」が成果や信頼につながります。逆に言うと、ちょっとした行動のズレで誤解が生まれたり、進捗が見えにくくなったりして、必要以上に評価を下げてしまうこともあります。
そこで本記事では、私の経験を踏まえながら、客先で失敗しないための立ち回りを“完全ガイド”としてまとめました。参画初日からの動き方、コミュニケーションの取り方、報連相・質問・進捗共有のコツ、やりがちなNG例まで、明日からそのまま使える形で具体的に解説していきます。緊張や不安を少しでも減らし、自信を持って現場で動けるようになる内容を目指しましたので、ぜひ最後までご覧ください。
参画初日~1週間の動き方(環境構築・あいさつ・仕様理解)
客先常駐の立ち上がりで一番大切なのは、**「仕様を理解するための土台を最速で作ること」**です。環境構築やあいさつももちろん重要ですが、ここで仕様理解を疎かにすると、その後の作業スピードも品質も一気に落ちます。逆に言えば、最初の1週間で仕様理解の導線を押さえられると、現場での信頼が一気に積み上がります。
1日目:まずは“動ける状態”を作る(環境構築)
初日は、成果を出すというより**「明日から自走できる状態にする」**ことを最優先にします。
- アカウント発行、VPN、社内ツール(チケット、Git、チャット、勤怠)へのアクセス確認
- ローカル環境構築(ビルド・起動・デバッグができるか)
- 開発端末、権限、ネットワーク制限などの詰まりポイントを洗い出す
- つまずいた点は、必ずメモして「何ができないのか」を言語化して相談する
ここで大事なのは、詰まったときに「できません」だけで終わらせず、どこまでできて、どこからできないのかをセットで伝えることです。これだけで印象が変わります。
1日目:あいさつは“安心材料”を渡す
初日のあいさつは、気合いよりも**「この人はやり取りしやすい」**と思ってもらうのが目的です。
- 自己紹介(所属・担当予定・得意分野・経験年数は簡潔でOK)
- 「分からない点は早めに相談します」「進捗はこまめに共有します」など、姿勢を一言添える
- 連絡手段(チャットが良いのか、会話が良いのか)を確認する
最初に“コミュニケーション方針”を置いておくと、相手も接しやすくなります。
参画初日~1週間で最重要:仕様の理解が本当に大事です
私の経験上、客先常駐でつまずく原因の多くは「技術不足」ではなく、仕様を曖昧なまま進めてしまうことでした。
仕様理解が浅いと、次のような事故が起きやすくなります。
- 手戻りが増える
- 進捗が遅く見える
- 認識ズレが原因で信頼が落ちる
- 「聞いてない」「言ってない」が頻発する
だからこそ、最初の1週間は“仕様理解の仕組み”を作る期間だと割り切るのが大事です。
仕様の説明がない現場もあります
意外かもしれませんが、現場によっては口頭での仕様説明がほとんどないことがあります。
その代わりに、新規参画者向けに以下のような情報がまとまっているケースがあります。
- 新規参画者向け資料(読み物、全体像、用語集、画面一覧など)
- 課題・チュートリアル(環境構築後にやる小さなタスク集)
- 過去のチケット・WBS・障害一覧(実質これが仕様書になっている現場もあります)
ここで大切なのは、「説明がない=放置」ではなく、「資料とログを読め」という文化の可能性が高いと理解しておくことです。
仕様説明がない現場で大事なこと
仕様説明がない場合、受け身で待っていると本当に詰みます。
私が強く意識していたのは、次の3点です。
① 仕様の“正解の置き場所”を最初に確認する
- 仕様書はどこか(Confluence/SharePoint/Box/社内Wikiなど)
- 画面定義・API定義・DB定義はどこか
- 変更履歴はどこで追うのか(チケット?差分?)
- 最終的に判断に迷ったら誰に聞けばよいか
これが分かるだけで、作業の迷いが減ります。
② WBSで降りた作業は、着手前に“仕様確認の質問”をセットにする
仕様説明がない現場ほど、WBSの文言がふわっとしていることがあります。
そのまま着手すると高確率で手戻りになります。
- 目的(何のための対応か)
- 完了条件、期待するアウトプット
- 影響範囲(画面、API、バッチ、DBなど)
- 参考チケットや過去事例の有無
これを最初に短く確認するだけで、事故率が下がります。
③ 自分用の“仕様ノート”を作る
資料があっても散らばっていることが多いので、
自分が理解した仕様を1ページにまとめておくと強いです。
- 前提、用語、画面遷移、データの流れ
- よく出る例外パターン
- 「この仕様は誰が決めるのか(担当/承認者)」
後で別プロジェクトに回されたときにも効いてきます。
大企業の現場で起きがちなこと:別プロジェクトへ参画するケースがあります
大きい企業へ参画すると、同じエンドユーザー様の中で別プロジェクトへ移動・兼務することがあります。
その際に、仕様の説明がないまま、いきなりWBSで仕事が降ってくることもあります。
このパターンは特に危険です。理由は、**「前提知識がある人向けに進んでいる」**ことが多く、
新規参画者が置いていかれやすいからです。
そのため、WBSが降りたらまず次を確認するのが安全です。
- このタスクは、どの業務フローのどこに位置するのか
- 関連する仕様書・画面・API・DBはどれか
- 過去に同じような改修をしたチケットはあるか
- 影響範囲の確認は誰が責任を持つのか
「まずこれだけ教えてください」と言えるテンプレを持っておくと、現場でも戦えます。

私は過去に参画したプロジェクトで、仕様の説明がない現場に当たり、本当に苦労しました。参画直後はもちろん、途中で参画するチームが変わったあとも状況は変わらず、仕様の前提や背景を誰からも説明されないまま、WBSだけが淡々と降ってくるような進め方でした。
その結果、「何を目的にしている作業なのか」「どこまでやれば完了なのか」「どの仕様に沿えば正しいのか」が分からないまま手を動かすことになり、確認の回数が増えたり、手戻りが発生したりして、精神的にも消耗しました。技術的に難しいというより、情報がないことが一番の壁になっていたと思います。
だからこそ、仕様説明がない現場では、待つのではなく、こちらから“仕様にたどり着く導線”を作りにいく必要があると痛感しました。具体的には、仕様の正解が置かれている場所(資料・チケット・過去改修・用語集)を早めに把握し、WBSの作業に着手する前に「目的」「完了条件」「影響範囲」「参考資料」を短く確認するだけでも、手戻りは大きく減らせます。
「設計書作成・プログラミング・テスト」でAIは使うべき?
客先常駐で AIの使用ルールを最初に確認するのはとても重要です。理由はシンプルで、ユーザ企業側で「社内向けAIツール(独自ChatGPTや社内LLM、許可済みの生成AI環境)」が用意されていることもあれば、逆に「外部AIは原則禁止」「入力データに制限あり」など、ルールが厳格な現場もあるからです。ルール確認を怠ると、悪意がなくても情報漏えい扱いになり得ます。
結論は **「使うかどうか」ではなく「何を、どこまで、どのツールで」**をルールに合わせるのが正解です。よくある整理は下記になります。
設計書作成でのAI利用
- 使いやすい場面
- 章立てのたたき台、観点の洗い出し、レビュー観点の列挙、文章の整形
- 注意点
- 仕様や画面情報を入れるとアウトになりやすい(機密度が高い)
- 事実と推測が混ざりやすいので、必ず人間が検証する
プログラミングでのAI利用
- 使いやすい場面
- ボイラープレート、リファクタ案、関数の分割案、テストコードの雛形
- 注意点
- ソースそのものを外部AIに貼るのが禁止の現場は多い
- 生成コードは品質が保証されないので、レビューと動作確認が必須
テストでのAI利用
- 使いやすい場面
- テスト観点の網羅、境界値・異常系の洗い出し、テストケースのテンプレ化
- 注意点
- 実データ、ログ、障害チケットを入力すると危険(情報分類的にアウトになりやすい)
- 「抜け漏れがない」と盲信しない(AIは抜けます)


コメント