
参画したプロジェクトが中止になるのって、大変辛いことですよね。
私はSEとしてプロジェクトに参画しておりましたが、ある日、そのプロジェクトは突然中止となりました。
プロジェクトを振り返ってみると、失敗した背景には多くの原因が考えられます。
このような経験は、開発に携わる誰にとっても他人事ではありません。
システムが複雑化する中、設計段階での小さな見落としが、後の工程で大きな問題となって現れることはよくあります。
本記事では、この失敗経験をもとに、なぜプロジェクトが失敗したのかを丁寧に振り返りながら、今後同じような問題を防ぐために役立つ改善策や再発防止のポイントをご紹介します。
プロジェクトを成功に導くためのヒントを、ぜひご活用ください。
【失敗談から学ぶ】プロジェクトを成功に導くための教訓13選

教訓1:ドキュメントの整備を徹底する
技術資料(関数リファレンスなど)と成果物はセットで整備し、更新もルール化して運用することが重要です。ドキュメントが整備されていないと、後から確認や保守が非常に困難になります。
改善策:
- 関数リファレンス・テーブル定義書・画面仕様書・設計書などを網羅的に作成します。
- ドキュメントは「成果物」として扱い、納品対象とすることで意識を高めます。
- 更新履歴を残し、誰がいつどこを変更したか明示するルールを設けます。
- MarkdownやConfluenceなどのツールを用い、検索・更新性を確保します。
教訓2:スケジュールは現実的に設定する
スケジュールの延期を安易に繰り返すと、プロジェクトの信頼性が損なわれます。初期段階からリスクを見込んだ現実的なスケジュールを設定しましょう。
改善策:
- 初期の見積もり段階で技術的負債や不確定要素を明確化し、バッファ期間を設けるようにします。
- プロジェクト開始時に全体WBSを共有し、週次の進捗レビューを徹底します。
- スケジュール変更が発生した場合は、必ず理由と影響範囲を共有し、関係者の合意を得るようにします。
教訓3:オフショア開発ではルールを明確にする
ファイル操作や責任範囲など、オフショアチームとの連携には明確なルールが不可欠です。事前にドキュメントで共有することで認識のズレを防げます。
改善策:
- フォルダ構成・ファイル命名・コメント記述ルールなどを、開発前にドキュメント化します。
- レビューはGitのPullRequest形式などで明示的に行い、**自動チェック(CI)**も活用します。
- 翻訳対応が必要な場合は、図や画面遷移で補足し、言語に依存しない伝え方を意識します。
教訓4:要件とDB定義は初期に固める
開発後半での要件変更やDB構造の修正は、大きな手戻りにつながります。プロジェクト初期の段階で、要件とDB定義を確定させることが成功の鍵です。
改善策:
- 開発初期に業務フロー図・ER図・ユースケースを使って関係性を把握・合意するようにします。
- 要件凍結のタイミングを設け、「以降の変更は要承認」と明文化します。
- DB定義はER図と連動させ、変更時は全体への影響を検証するフローを作ります。
教訓5:共通メソッドはコピーせず参照する
共通メソッドはソースをコピーせず、共通部品を参照して使用するように統一しましょう。これにより修正漏れや不整合の発生を防げます。
改善策:
- 共通処理はクラスライブラリや共有DLLとして管理し、バージョン管理も行います。
- ソースレビュー時に「共通部品を使っているか」をチェック項目に含めます。
- 使用ガイドラインを整備し、OJTなどで新規メンバーへ周知します。
教訓6:途中参画者へのサポートを強化する
新規参画者がスムーズにキャッチアップできるよう、業務フローやテーブル間の関係、基本仕様などをまとめた簡潔な導入資料を整備することが有効です。これをベースに詳細な仕様を積み重ねていくことで、学習効率が向上します。
改善策:
- 業務概要・画面構成・テーブル関係図・FAQなど、最初に読むべき「新規参画者ガイド」を整備します。
- 新人が理解できたかを確認するための「チェックリスト」を作成し、担当者による説明を義務付けます。
- 業務の流れや背景がわかる動画や図解付きマニュアルの作成も効果的です。

個人的に、特にこれが一番重要だと感じました。
途中参画した人が、いかに業務になじめるかどうかでプロジェクトの成否が決まります。
チームの業務知識レベルの均一化を図る意味でも、重要なフェーズだと痛感しました。
教訓7:ショートカット付きフォルダで資料へのアクセス性を高める
必要なドキュメントにすぐアクセスできるよう、ショートカット一覧付きのフォルダを用意しておくと便利です。新規参画者の理解度を均一化し、早期戦力化にもつながります。
改善策:
- 全員のPCにショートカットを配布する「参画セットアップフォルダ」を作成します。
- フォルダ構成は役割(開発・試験・設計・PMO)ごとに分けておくと便利です。
- 特に「自分が参照したくなるファイル」リストを先輩が残しておくと、新人にとって大きな助けになります。
教訓8:開発手法は途中で変えない
プロジェクトの途中で開発手法を変更すると、引き継ぎや確認の抜け漏れが発生しやすくなります。可能な限り、当初の方針を維持するようにしましょう。
改善策:
- 開発手法はプロジェクト開始時に明確に定義し、変更する場合は全体会議で再確認します。
- 小規模機能に対してのみ段階的な変更を導入する「試験導入方式」が有効です。
- 手法変更時は、WBS・成果物・レビュー方式も一貫して見直します。

私が参画したプロジェクトでも、ウォーターフォールからアジャイルへ開発手法が変わりましたが、現場サイドはかなり混乱していましたね。
教訓9:設計書は常に最新に保つ
仕様変更があった場合は、必ず設計書に反映させ、最新版が常に共有されている状態を維持することが重要です。
改善策:
- 設計書をソースと同一のリポジトリに配置し、変更時は設計書も必ず修正します。
- RedmineやJiraなどで「設計変更チケット」を起票し、設計書修正と紐づけるルールを設けます。
- 最終成果物として提出する設計書は、都度レビューと承認を行います。
教訓10:簡潔な業務概要資料を作成する
業務フローやデータベース構造を俯瞰できる簡易資料を用意することで、複雑な仕様にも柔軟に対応できるようになります。これは特に新規メンバーにとって助けになります。
改善策:
- 1枚で業務フローとシステム構成がわかる「全体像図」を作成します。
- 業務×画面×DBの関係を示した三層マトリクスも効果的です。
- 業務起点で「何を入力し、何が出力され、誰が使うか」を時系列でまとめます。
教訓11:PM/PLによる要員調整の即応体制を整える
人員に関する問題が発生した際、迅速に補填や交代判断ができる体制を整えておくことで、チームの安定運営が可能になります。
改善策:
- PM/PLには権限と裁量を明確に委譲し、判断のスピードを上げます。
- 事前にスキルセットマップを作成し、緊急時の代替案を準備しておきます。
- 定期的に稼働状況と退職リスクをヒアリングすることで早期検知が可能になります。
教訓12:引継ぎは十分な期間を確保する
前任者からの引継ぎが不十分な場合、属人化した情報が失われてしまいます。最低でも1週間以上の引継ぎ期間を確保するのが理想です。
改善策:
- 引継ぎは最低1〜2週間を確保し、初日から日報形式で引継ぎ内容を記録します。
- 「ToDoリスト」「注意点」「不明点メモ」などをセットにしたパッケージ引継ぎ資料を用意します。
- 後任者との重複勤務期間を設けることで、質問が即座に解決できます。
教訓13:Slackなどの有償版ツールを活用する
チャットツールは過去ログを検索できる有償版を利用することで、不明点の調査や情報共有がよりスムーズになります。ナレッジの蓄積にもつながります。
改善策:
- SlackやTeamsなどは有償版を契約し、無期限のメッセージ保存・検索を可能にします。
- スレッドやチャンネルの命名ルールを設けて、ナレッジを資産化します。
- 「#よくある質問」「#障害履歴」など、カテゴリ分けも有効です。

プロジェクトを通して、多くの教訓を得られることができました。
ここから、プロジェクトをより成功へ導くためにどのような意識を持って取り組むべきなのかについて解説します。
プロジェクトを確実に成功に近づけるために意識すべきこと5選

プロジェクト初期段階で「共通認識」を徹底的に作る
やるべきこと:
- プロジェクトゴール、役割分担、開発方針、納期をキックオフ時に全員で共有する
- 要件・スケジュール・DB定義などを**「これ以上動かさない線」まで具体化**する
- オフショア含む全メンバーと共通言語(用語、ルール)の整備
理由:
認識のズレは後工程で爆発します。最初の1~2週間で「腹落ちする説明と合意」を徹底することで、後の修正コストが激減します。
プロジェクトを“人”ではなく“仕組み”で回す
やるべきこと:
- ドキュメント整備、設計書の更新ルール、ナレッジ共有を「標準化」
- ショートカット付きフォルダや参画セットをテンプレート化して再利用
- Slackなどツールで見える化・ナレッジ蓄積を自動化
理由:
属人化を防ぎ、途中参画者でも即戦力化できる体制にすることが、スピードと安定性の両立につながります。
「先回り」で問題を潰していく進め方をする
やるべきこと:
- スケジュールにはバッファを組み込む
- 引継ぎや要員補填のシナリオを事前に計画
- 要件変更・設計変更があった場合の影響範囲と対応プロセスを明文化
理由:
炎上するプロジェクトの多くは「想定外」が積み重なった結果です。想定内に変える工夫が重要です。
チームの“心理的安全性”を確保する
やるべきこと:
- 新規参画者が質問しやすい雰囲気を作る(例:毎朝10分の雑談共有タイム)
- 進捗会議では「できてないこと」にも安心して話せる空気を醸成
- ナレッジ共有を評価・称賛する文化を作る
理由:
質問できない空気=リスクが埋もれます。
小さな違和感や不安を拾えるチームこそ、結果的にトラブルを防げる強いチームです。
“改善する文化”を根づかせる
やるべきこと:
- レトロスペクティブ(ふりかえり)を定期的に実施し、必ず改善アクションを出す
- 成果だけでなく「改善の取り組み」も評価する仕組みを作る
- 前プロジェクトの教訓を「教訓リスト」としてプロジェクト開始前に全員へ共有
理由:
プロジェクトは「計画通りに進める」より「改善しながら進める」方が成功確率は高まります。
失敗を次に活かせるチームは、成長力のある強いチームです。
まとめ
プロジェクト成功の鍵は、個人のがんばりだけではなく、
「誰が入っても成果が出る仕組み」と「改善し続ける文化」にあります。
今回の13の教訓と改善策を土台に、上記5つの視点を持ってチーム作り・プロジェクト設計を行うことで、次回は確実に“成功に近づくプロジェクト”の実現に近づけます。



コメント